マレーグマの頭のなか

文章を 書くだけなら タダ

「またね」と手を振られたら、どうすればよかったのか

 少し前の休日に、久々に好きな女性と二人きりでランチを食べた。延び延びになってしまった日程と、それを支える自分の我慢強さがピンと張っていて割ともう限界にきていた。まぁ、女性との付き合いなんて往々にしてそんなもんで、その振り回される感覚が好きか嫌いかで第一印象から一歩踏み出したモテるかモテないかが決まるようなもんだと僕は思っている。んで、まぁ僕はどちらかと言えば後者だ。出不精、というか日常が心地よいタイプの人間で、より簡単に言えば旅行の前日の準備までが一番楽しいタイプの人間だ。実際に旅行してみれば疲れるし、トラブルがあるし大変なことを知っている。それが楽しくないわけではないけれど。

 今回のデートもいつも通り、美味しいところをチョイスする。そんなに高くなくていい感じの。その女性に気があるからそういうところに行くわけじゃなくて、誰とでもそういうところに行くのが僕だ。ということをアピールしないと相手は勘違いするだろうが、別にそれでもいいかななんて思う。話が脱線したが、やっぱり食事中、移動中に喋っていると、最初は饒舌だった口先も段々と切れ味を失くしていって、お腹がいっぱいになる頃にはこのオンナと別にコレ以上話す話題はないかもしれないなんてことも頭のふちをなぞったりする。面を合わしている時間が長くなるほどに、照れ臭さなのか、童貞臭さなのか微妙な色がチラつく。昼から飲むワインを流し込んで、お会計をした。「夕方から予定があるから」って言って解散をする。

 帰り際、その子から「またね」って手を胸のあたりで振られた。正直なところ、もう二度と会わなくても…いやむしろ、俺の本心ではもう会いたくないんじゃないかって…とかいろんな気持ちが渦巻いてしまい、そのまま僕は頷いて改札を出て行った。そのときの僕の顔は自分じゃ分からないけれど、きっと醜い顔をしていたと思う。このときどうすればよかったのか、僕にはまだ答えが出ていない。