マレーグマの頭のなか

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キャッチボール

 あと1, 2時間もすれば日がすっかり落ちてしまうくらいの、広々とした公園から健全な親子たちが立ち去った時間になって僕たちはキャッチボールを始めた。キャッチボールは徐々に距離を広げたり、投げるボールのスピードを速くしたりするが、僕らはそんなことも知らず、長い付き合いだからと最初から遠投を全力でしていた。何往復かしたところで、このやり方はやっぱり疲れるねと気付き、少しずつ歩み寄った。

 過去を振り返ると、僕はすぐに疲れてキャッチボールをやめてしまう癖があった。相手が不慣れなキャッチボールをしてくれているはずなのに、そこに別に感謝するわけでもなく、自分が疲れたところで区切りをつけたがった。それどころかバッティングセンターに行きたいとも言い出したこともある。それでもいつも向こうはキャッチボールは正確に投げようとしてくれていたようだ。それに気付かない自分がいたことすら、相手がキャッチボールを投げ出してもいつまでも気付かなかった。

 それから何度も日が巡って、キャッチボールをしなくなり、キャッチボールができなくなった。数年経って、またキャッチボールを始めた。