マレーグマの頭のなか

文章を 書くだけなら タダ

難しい本を読むこと

 

 難しい本を読むのは難しい。”読んでいる” 感覚はあまりなく、”見る”  もしくは ”文字をなぞる” といった方が正確なのだろうが。考えながら、理解しようとしながら読んでいるつもりも、理解が追いつかずページを一枚めくる度によく分からない言葉が頭の中になだれ込んでくる。いや、よく分からない言葉ではなくれっきとした日本語のはずなのだが、列挙された文章は自分の言語外で表現されているように感じる。宇宙人が頭に直接話しかけてきても自分の頭の言語感覚と異なる言葉使いをされても混乱するだけなのではと感じた。感じる感じると書いていると ”Don’t read, Feel.” と本の側から諭されているように徐々に思えてくる。分かっていることがゼロなわけではなく、ちりとりと箒で途方もなく広い部屋に散らばっている理解の断片を集めているような感覚に陥る。放棄したい気持ちがふつふつと湧いてくるが、それを押さえ込み、仄暗いトンネルを抜けるときらびやかなワンダーランドが待っていると信じて普段どおりに鈍い歩みを進めている。歩いてきた道程を振り返ってやっと分かることもあるだろうと、自分に言い聞かせないとやっていられないこともたくさんある。