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機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORYを見た。

 機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY(以下0083)を見た。おそらく人生で3度目の視聴。僕は0083が好きだ。それは画が最初から最後まできれいに作られているからだ。ガンダム史上でもトップクラスのモビルスーツ/モビルアーマーデザインに加え、戦闘シーンは最高に丁寧に作られている。さすがOVA全盛期に出てきたアニメといったところ。しかし、キャラクターは本当にクソだと思う。数年振りに見て、フラストレーションを溜めながら「なんなんやこいつらは」と思った。

 

 なんとなく気になるキャラクターを振り返りたい。

 

 主人公のコウ・ウラキは軍人としてとても未熟で、命令違反や脱走(本人は気付いていない)をするなど明らかに軍人に向いていない。しかも、更に今で言うコミュ障とでも言うのだろうか、物事に集中すると他が見えなくなるような、実際にいたら面倒なタイプ。しかし、そこは上官であるバニング大尉がうまくコントロールしつつ、最終的に成長していく様が見えるのでそこはよい。主人公は最初から完璧より、未成熟な状態から徐々にまともな人間になって、そこからの何か掴むのがお話だから。でも最終話ではまともというよりも復讐に狂った若者に見えたが…。

 

 主人公の親友のキース、彼はかわいそうなほどに空気。成長は全く見られない。ただ、あの戦争を生き残っただけでやべぇやつなのは間違いない。最終話でコウを迎えにきたのが他でもないキースで良かったよ。唯一の清涼剤。

 

 コウの上官のバニング大尉、多分お話の中で唯一のまともな人物。厳しくも当たり前のことを周りに説教する。だが、家庭では妻と別居しているなど、完璧でまともな人間などこの世にはいないという示唆なんだろうか。39歳にしては顔がシワシワなのはオーストラリア大陸の紫外線の影響か。彼といえば死に様が許せない。悲しくもならないし、伏線にもならない。ただただ演出として死んだ。でも何を演出したのかは分からない。

 

 一応ヒロインのニナ・パープルトンアナハイム社のシステムエンジニアでGP01と02のお守りをしている。彼女は言わずもがなガンダム三大悪女として有名だが、途中で監督がバトンタッチしたために、後付設定でこう言われるのは可哀想だと個人的には思っている。とはいえ、やっぱりこいつも「私のガンダムゥゥゥ!!!」というセリフから分かるように人格はおかしいが、コウに対する恋心と自分の思った通りに上手くいかないときの態度はそこらへんにいる女性となんら変わらないと思う。しかし、90年頃のアニメなのに、アナハイム社のシステムエンジニアがほとんど女性で、アルビオンのメカニックも女性というかなり先進的な配役に見える。むしろ男は戦争に行ってしまうので、そこらへんのバックアップは女性が行うという形はむしろ理想か。あと佐久間レイの声が好き。

 

 同じ隊の上官のモンシア中尉、こいつのせいで前半はキツい。こいつのパワハラや部下を貶めようというやり口が腹立って仕方がなかった。先日の自衛隊内でのイジメ問題もあったが、これが軍隊ってもんなんだろうか。悪い仲間が主人公を認めて良い仲間になるような素振りもなく、ずっとコウとギクシャクしながら進んでいく。そして後半から終盤にかけて出番がなくなりいつの間にか消えていく…。ならそこまで悪いやつにしなくても良かったのでは?こいつの胸糞悪い感じがずっとモヤっとしていた。

 

 シーマ・ガラハウ、この人がいなければ最終的に誰が敵で誰が味方なのか整理のつかない戦闘になることはなかったかもしれない。結局自分の利益を最大化するために動いていた、それだけはずっと変わらない。見た目はホワイトタイガーの剥製と鉄扇みたいな扇子という悪趣味なイメージが強い。35歳にしてはなんかほうれい線が気になるけど、ファンが多いのは私服姿が色気あるからだろう。搭乗機のガーベラ・テトラはかっこいいんだから、もうちょっと活躍するシーンがあっても良かったと思うの。

 

 ライバルのガトー、昔見たときは圧倒的にカッコいいイメージだった。しかし、今回見返すとジオンの操り人形にしか見えなかった。ある目的に対してひたすらに突き進む姿勢というのは生き方として間違っていないと思うが、その目的自体を怪しむことができなかったのか。いや、それができないことが戦争なんだろう。最初は主人公を圧倒する強さを感じさせるものの、ニュータイプでもなんでもないコウが段々と強くなってしまいエースパイロットとは何かを考えさせられる。むしろモビルスーツの性能差のせいなのでは。強さが機体勝負になった末、精神力がぶれてない方が物語的に勝ってしまう。

 

 おおよそのキャラクターは自分がやりたいことをやる、自分を信じている正義によって行動している。最終的には主人公は目的が軍に従うことからガトーへの復讐にすり替わり、ヒロインのニナ・パープルトンは昔の男か今現在誑かしている男かを天秤をかけて自分に利益のある方を選ぶ。ガトーだけが上官の未来図を信じた行動を徹頭徹尾起こしている。最初からぶれていない。だからファンが多いのか。でも、ガトーは人情に厚くて、エースパイロットで、本当は悪いやつじゃない感を演出によって醸しすぎてる感じがあった。そのせいで最終的にガトーは悪くない!悪いのはコウを裏切ったニナ!あいつがクソ!視聴者全員の敵を作って終わり!みたいなひん曲がった結論が出てくるんかな。

 

 僕はそれでもモビルスーツ/モビルアーマーと美麗な作画を見るために、また数年後見ると思います。……0083は話がクソ!でも作画が最高だから100点です!