マレーグマの頭のなか

文章を 書くだけなら タダ

NPCの住む街

 新宿には電車で数駅、自転車でも十数分くらいで行ける圏内に住んでいる。家で何か足りないものがあれば、新宿まで行って何かを買って埋める、そんな生活をしている。新宿で用を済ませて帰ってくるまでおよそ一時間と少し。その間で、いつも、ものすごく孤独を感じる。その買い物の間で何百人、何千人とすれ違うのにメッセージの設定されていないNPCのようだ。相手から見ると、僕もその一人だと思われているのかもしれない。

 何度も何度も反芻している。東京は住むのには楽な街だけど、生きるのにはとても苦しい街だなぁと。東京生活10年目にして更にしみじみと思う。水中に酸素が少なく、パクパクと水面で口を開いて閉じてを繰り返している金魚のような感覚に陥る。東京に出てきた田舎者のぼくらには、真の安息は実は借りている部屋ではなく、ここではない別の何処であり、それを皆いつまでもいつまでも探し続けているのかもしれない。