マレーグマの頭のなか

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オレと多様性

 オレオレ詐欺が何故普及してしまったのか。

 それは、電話越しに聞く声は本当の声ではなく、電子的に変換されたテンプレートの声の一つだから聞いたときに人間の脳みそがその人のものだと補正してしまうためである…みたいなことをつい知識をひけらかすのが好きなので書いてしまったが書くつもりは毛頭なかった。

 冒頭の疑問の答えの一つは、ひとえに男性の一人称のほとんどが「俺」だからである。

 種の保存のためには多様性が不可欠だ。日本では役割語としてではない一人称の多様性があったはずだ。わたし、おれ、ぼく、わし、おい、おいどん、わい、わて、わだす、ミー等々…。これほど多くの一人称が未だに使われていたとしたらば。「もしもし?オレオレ」なんて言われても「いや、うちの息子は自分のことをわてと言ってですね」みたいなやりとりが発生するわけで、多様性によるセキュリティの高さを目のあたりにするはずだ。詐欺グループもSNSで息子の一人称をいちいち調べないといけなくなり、コストがかかってお手上げになるはずなのだ。それらの多様性を失った結果、一人称の生態系のバランスが崩れてしまいオレオレ詐欺のようなシステムの穴をついた巧妙なハックがなされたと言っても過言ではない。俺がオレに喰われるのだ。

 ん、待てよ。じゃあ英語圏では主語が ”I(あい)” しかないけど、こういう詐欺は行われていないのか?と思ったら数年前に結構流行ったみたいね。2010年にはアメリカにはまだないという記述もある。2013年頃に急増したみたいですね。とはいえ日本の後釜とは面白い。詐欺のタイムマシン経営(詐欺)は日本から輸出されるんだなぁ。つまりグローバルにおける詐欺先進国ということか。黒魔術師や陰陽師が詐欺をしていたころが懐かしいよ。