マレーグマの頭のなか

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ポスト◯◯とイノベーション

 何を読んでそう思ったのかは忘れてしまったが、ポストモダンやポストロックなどの「ポスト◯◯」の◯◯に当てはまるものとは、イノベーションを起こしたものなのであると年明けごろに気がついた。◯◯ = イノベーション の式が成り立つもののことだ。

 そもそもポストとはなんぞやと。「ポストA」とは、よく「A以後、Aのあと」と訳されることが多い。それだと自分の中ではあまり腑に落ちなくてこの「ポスト」という言葉を見るたびに渋い顔をしていた。けれども、昨年下半期にはちょっと長いが納得のいく説明ができるようになった。

 それはまず「ポスト」の概念は、「Aの概念が行き渡って、それありきになった世界以後」ということを悟ったからだ。「A以後」の「A」と「以後」の間にはこんなにも長い文章が隠されていた。構造主義ありき、ロックンロールありきで作られた物事がポストの概念。ただの時間軸の話ではなかった。

 イノベーションとは、「技術改革」という薄っぺらい言葉でもなんでもなくて、世界でそれありきでしか語られなくなったものと考えれば、その「ポストA」現象を起こした「A」だと言って過言ない。構造主義という思想の技術、ロックンロールの演奏や作曲の技術のことと言われれば納得のいく道筋が見えてくる。

 しかし、世界と言ってもこういうことが言えるだろう。インドネシアの奥地に住んでいる未開の地の住人たちは我々と時を同じくしているにも関わらずポストモダンやポストロックを共有していないと。つまりは「ポストA」とは周辺世界、自分たちの手の届く範囲での話である。Uberは奥地では使えないし、火星でiPhoneは使えない。だからこそ時間軸は関係なく、どちらかと言えば時間を伴った空間軸の話なのだ。