マレーグマの頭のなか

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うなぎ

 

 

 うなぎの絶滅が叫ばれている。既に絶滅危惧種に指定されたそうだ。

 

 Twitterでこんな人がいた「絶滅危惧種に指定されたのに土用の丑の日に食べるなんて無神経だ」と。たくさんたくさんいた。その日、僕は食べてしまいました。近くのすき家で食べれるって聞いたので、並盛780円だ。「高いなぁ、穴子のほうが好きなんだけどなぁ」と思いながら、800円を渡し、20円とうな丼を受け取ったのでした。僕が食べたうなぎは絶滅危惧種に指定されたうなぎだったのかは分からないが、うなぎだったことは間違いがない。

 食べたそのうなぎは既に蒲焼にされていた、甘辛い醤油まみれだった。僕が食べるために殺されたうなぎではない。僕が食べようが食べまいが、死んでいたうなぎだった。ただ、僕に食べられてしまっただけだ。ただの偶然だ。僕が土用の丑の日に食べてなくても、誰かが食べていたうなぎだったはずなのだ。

 

 すき家やイオンは前年の比較や、もっと前の気温が似たような年等と比較して、あとはうなぎの漁獲高等を鑑みて仕入れている。僕は土用の丑の日に食べたのは数年ぶりだから、その統計比較の中に僕は入ってないかもしれない。ずっと前の統計と照らし合わしていたら、僕がいたかもしれない。

 僕に罪がないということではない。声高に不謹慎や無神経と叫んでいた人がその統計の中に入っている可能性だってある。僕が今望んだうなぎかもしれない。ずっと前に望んだうなぎだったかもしれない。ひょっとしたら、あなたが望んだうなぎだったのかもしれない。統計の前では、一度関わった誰しもが罪人の可能性があるのだ。

 

 ただただ、僕がうなぎを食べた事実と、今絶滅の危機に瀕している事実は変わらない。

 

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