「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」という本を会社の人に貸してもらったので読んだ。「愛のままにわがままにぼくは君だけを傷つけない」みたいに長いタイトルの本だ。
内容は主人公で作者の菜々子さんがタイトル通りのことをするエッセイ風恋愛私小説だ。こんな風にタイトルで中身が8割くらい分かりそうなものじゃないと売れない世の中になってるのかな?と思った。いきなり話は変わるけど、SpotifyやApple Musicのような音楽ストリーミングサービスが流行ったことによって、今世界中で新曲のタイトルが短くなっているそうだ。それはアプリ内でパッと見て読み切れる長さのタイトルでなければタップしてくれないからだそうだ。本屋を回る経験は昔より少なくなったとはいえ、面白そうな本を探すことは未だにしていて、ある種タイトルでシナリオが完結していると読みやすいと感じるんだろう。遠藤周作の「海と毒薬」なんて海も毒薬も出てきた覚えがないけど、Wikipedia曰く『遠藤が九州大学病院の建物に見舞い客を装って潜り込んだ際、屋上で手すりにもたれて雨にけぶる町と海とを見つめ、「海と毒薬」という題がうかんだという』と言ったらしい。そんなのタイトルで内容判断できないよふえーんってなる人が続出しそうだし、このタイトルは長くしちゃってもいいから内容が分かるようにしましょう法はまぁしゃあない気がしてきた。
この本の主題は、① ネット時代のコミュニケーション ② スキルセットは活きること ③ 僕らが拘泥している ”何か” からの解放だと感じた。とはいえ、特に目新しいものでもない。久々に小説なるものを読んだというか流し見した。ただまぁ具体的な本の名前が数十冊登場しているので、気になる本が最近見つからないみたいな人にとっては向いているのかもしれない。