マレーグマの頭のなか

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貧乏暇無

WIRED vol.30 國分功一郎と熊谷晋一郎の対談で「アイデンティティ」をテーマに二人で語っている。次に読む予定の本が「中動態の世界」なので、一旦読んでおこうと思ったのと、メモったのでそれを貼っつけておこうと思った。

各章に対して、抜き出したり、まとめたり、一言書いている。

 

:退屈

いまの人は「きちんとよく噛んで食べる」べき。

非行少年は最もしんどい現象に「暇」と名付け、薬物を使った。 

:寂しさ

「孤独」= 自分自身と一緒にいるとき。

「寂しさ」= 孤独ではいられず、他人を求めてしまうとき。

 

:知覚と記憶

期待や予想を裏切る経験を傷と呼ぶ。

「知覚」=今まさに与えられた傷

「記憶」=過去に与えられた傷

人はそれを回避するはずなのに傷を求める振る舞いをする。新しい知覚の傷をつくることで、古い記憶の傷の痛みを癒すトレードオフの関係になっている。

:物語

同じ出来事が何度も起こればパターンとして受け入れられる。複数の主体間で共有できる出来事を物語という。パターンは一人でも作り出せるが、物語は他者を必要とする。

アイデンティティは「パターン」と「物語」で形作られる。しかし、トラウマを背景に持つ人はそれを他者と分有する物語に出来ず、古傷になってしまう。暇なときにそれが疼く。それが辛いので、知覚としての傷を加える。「いま・ここ」に身を置き、過去を遮断してしまう。

:意志と責任

「意志」というものは基本的に存在しない。

あなたが人生に何かを期待するのではなく、あなたが人生か何を期待されているのかを考えること、それが「責任」。

「選択肢から自由に選んでください」と半ば強制的に選択を求められる一方で「でもあなたが自分の意志で選んだのですからその結果はあなたの責任です」と言われてしまう。

:覚悟

覚悟は絶対に切れない物事の因果関係のなかに自分がいて、その運命を我がものとすること。

切ることができない流れを自分で引き受けながら働きかけていくこと。

:夕暮れ

過去と向き合わず「切断」しようとする戦略には限界があるが、決して悪ではない。

過去を切断する能動態的な生き方と、過去を引き受ける中動態的な生き方を使い分けながら生きる。

日中は切断し、夕暮れに日中を振り返りつつ反省する。どちらにも機能がある。

:対話

人と話さないと人間はどんどんろくでもないことを考えて行き詰まる。

人に伝えることが治療の効果を持つ。

:傷

自分で自分を痛めると、慣れて傷が予測可能になってしまう。すると自傷行為は慣れに抗うためにエスカレートしてしまう。

:人間の運命:アイデンティティ

人間は本性に反して矛盾を求める。

Human Fate:過去から得た傷でできた自分

Human Nature:傷が生じる前、生まれたときから備わっている特徴や傾向性

この2つが人間のアイデンティティの基盤になっている。

 

結論らしい結論が無い対談だったが「覚悟」という言葉が出てくるとは思わなかった。その言葉は自分にとって大事なものであり、かつないがしろにしているものなのだからだ。二冊を読めば、きっと何か少しは理解できるだろうか。