伝わりやすいことが良いことだと思われている。
食べ物は柔らかいものが高級で美味しいものだと考えられている。
水のようにすっと入ってきて身体に馴染んだ情報に対して、僕らはそれを憶えていられるだろうか。
水を媒介にして、その中に砂糖を混ぜ込む。
それを飲むことは容易だし、甘いなくらいの印象を持つかもしれない。
ただ、その感想で終わる可能性も大いにある。
だから、わざと食塩を混ぜ込んで、その水を飲ませよう。
きっと飲んだときに「うぇっ」となるし、飲んだことを後悔するだろう。
そんな風にさせることも一つのやり方なんだけれど、伝わりやすさばかりが取り沙汰される。
忘れないことが、本当に伝わったこととは言わないけれど、すぐに忘れるよりはよっぽどいい。