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マレーグマの頭のなか

文章を 書くだけなら タダ

田舎者、都会に恥ず

 久々に予定も無いのに街を歩いた。それにつけてもおやつはカールじゃないけど、最近は何かにつけてないと身体が重力に縛り付けられていて、外に出る行為自体億劫になりつつあった。しかし何故か外に出なくてはいけないと思い立って15時、11月中旬の寒さをまとった空気ではあるけど、この時期にしかセーター一枚で外に出ることはなかろうと家を出た。新宿なんて庭のような隣町に住んでいるので普段は自転車をかっ飛ばして行くもんだけど、その日はなんとなく電車に乗っていた。少し足りないSUICAにお金を入れ、このSUICAのお金とさっき切符券売機に入れた金で世の中のお金は二倍になっているんだと確信しながら立ったまま数駅揺られた。

 新宿駅だけでたくさんのお店があって、適当にLUMINE1だとか2だとか何か目的があるでもなくビルを歩き回った。気に入って使っている眼鏡もそろそろ買って二年になるなぁとメガネ屋に寄る。欲しいフレームや色も無いからフラフラと人の合間を縫っていたら可愛らしい顔をした店員さんに話しかけられる。知らない女性と話すのも久々なのでなんとなく照れてしまったのか数本紹介された後にありがとうございましたと言いつつ、そそくさと店から出てしまった。今振り返るとなんでもないんだけど、久々に外出するってことはこういうことなんだなと、毎日仕事をしに渋谷くんだりまで行っているのにニートが部屋から出たときに感じそうな羞恥心を味わってしまった。店員さん側はかぼちゃにメガネを買わせるような気持ちで接しているのに、僕はなんちゅう初心な、心を初めて持ったブリキのロボットみたいな気持ちになっとるんだと18時、薄暗くなった歌舞伎町まで歩きながら反省していた。

 日が沈んでから曇りが一層辺りを暗くしたあと、なんの買い物袋も持たずに家路についた。いろんな感情を持ち帰って、いろんな感情を都会に捨ててきた。それだけで休日に家から出てきて正解だったかもしれない。