マレーグマの頭のなか

文章を 書くだけなら タダ

たいふう

 今日は関東に台風が襲い掛かっている。今上映中のゴジラのように風が暴れ狂い、川を氾濫させ、交通機関を麻痺させ、俺をハラハラさせ困らせている。昔から台風は大好きで、やはり学校に行かなくても済むからだった。その頃からサボり癖の芽が出ていたのに今のこの風雨の中で会社に出勤している俺を見たらきっと社会は休めないんだとか思うんだろうな。昔は台風と言えば停電だった。テレビでいつもは見れないNHK教育の社会や道徳の番組をジッと見たり、誰が結婚しただ別れただの言うみのもんたのワイドショーを母親と一緒に見たりしてると急にフンッ…とテレビと蛍光灯が消えて、ザーァッと窓を叩く雨の音だけになった。母は「あー停電じゃね、ちょっと待ってて」と言いつつ昼間だから薄暗くても微妙に廊下が見える。戸棚に閉まって常備してあるロウソクを取り出して、あの頃はチャッカマンではなくマッチを擦って火を灯していた。薄暗い中、使えるガスと水道で栄養のある給食なんかよりも、目盛りを見誤って食べたチキンラーメンが美味しかった。停電し始めてから、電話が掛かった。薄暗がりで友人とつまらない電話をちょっとするのも楽しかった。雷が鳴り始めると怖くなって、自分の部屋の二段ベッドの下で昼寝をした。夕方になれば台風は過ぎ、翌日の暑さも平気で友人とプールなんかに行ったりしていた。