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マレーグマの頭のなか

文章を 書くだけなら タダ

滞る風景と流れるオブジェクト

 

僕の彼女はお菓子、エリーゼの白い方が嫌いだ。

だからなんだと言うかも知れないが、これは真実だ。普通の方、いや、普通の人がどちらを普通と呼ぶのかは知らないが、僕の中での”普通”とは黒い方だ。エリーゼは黒いのと白いのとあるが、白い方がやはり良い。

 

こんな書き出しで書かれた小説は絶対にクドいって僕は知ってるんだからね。

 

先日、引っ越しのバイトをした。8時間強働いて、8000円くらい。時給1000円だ。安い。しかし、手段は選んでられない。今、出来る仕事は、お金を稼ぐ手段はこれしか無いのだから。だがそこまで大変ではなかった。まだ僕が若いこと、初めてだってこと、上長に気に入られたことなどなどが絡まって楽な仕事を与えてもらった。

その中でも最もいろんなことを考えていたのが、トラックの中にて駐禁を取られないように待機しておくことだった。”何もしない”ということがお金になるとは思わなかった。いや、正確に言えばそういう仕事もあるってのは知っていた。だが、本当にやってみて、こんな感じなのかと体験してやっと分かった感覚だ。

駐禁を切られると罰金として24000円払わなければならない。時給で言えば3000円だ。なかなか大きなトラックなのでその辺にこんなのをしまい込めるような駐車場は無い。あったとしてもきっと丸の内も近かったし、一時間当たり2500円くらいなのではなかろうか。僕の時給は1000円。下請けだから本当は2000円ぐらいかもしれない。もっとかもしれない。しかし、ここは便宜上2000円としておく。そうして、僕は計4時間ほどトラックの中でじっとしていた。やはり、人を置いておく方が安心だし、安いのだ。トラックの中で寝ているお兄ちゃんも、立派な仕事をしているのだ。実は。

 

 

僕はときには音楽を口ずさみながら、またフロントガラスから見える飽々する景色を穴が空くほど見ながら。動くもの、動かないもの、点滅するもの、往復するもの、色々みた。蛍光ピンクのタイツを履いた金髪のお姉ちゃん。遠くのコンビニから出てきた人が通り過ぎるが僕を感知することはなかった。2時間経ってやっと気づいた看板のマスコットキャラクター。ウェディングプランナーが居そうなお店から出てくるオールバックの執事みたいな店員と幸せそうなカップル。モス・グリーンのコートに身を包んだ友達に似た知らない人。知らないものばかりが通り過ぎる中で自分の知ってるものが通り過ぎた時はなんとも安心した。18時頃になると周りは何も見えなくなる。そうして引っ越しは終わり、給料を受け取りに、また紹介所へと足を伸ばすのだった。